鬼火送り
今週末から、お盆休みという方も多いでしょうね。
自由業である自分には、もう何年も縁がないこのお盆休みですが・・・
毎年この時期、業務などで外出すると家族連れなどの人たちをあちこちで見かけ、「あゝ、お盆休みなんだな・・・」と感じています。
そしてこの時期が来ると、必ず思い浮かんでくる楽曲があります。
富山県在住のシンガーソングライター、
伊藤敏博さんの
“鬼火送り”。
デビューアルバム、
サヨナラ模様に収められている曲です。
「宵の蜩(ひぐらし)蝉しぐれ 上る石段影一つ・・・」 というフレーズで始まるこの曲。
水難事故※で喪った恋人の初盆の日、鬼火送りが粛々と行なわれている中、この曲の主人公の女性は独り城山を登り、故人からもらった手紙に火を放ち、そっと手を合わせる・・・
女性はこの秋、別の男性のもとに嫁ぐことが決まっていて、燃える炎から漏れるぬくもりに、そっと別れを告げる・・・
(※は、あくまで自分の想像で、正しいかどうかは分かりません。)
伊藤敏博さん特有の、せつなく悲しげな曲であると同時に、この曲の舞台となった、富山県
朝日町のヒスイ海岸の情景がぼんやりと浮かんでくるような、情緒がある曲です。
「浴衣の裾が波に濡れても 貴方の名前漁火に呼ぶ・・・」 という最後のフレーズは、伊藤さんのせつなげな歌声が涙を誘います。
デビュー曲であり、大ヒットとなった「サヨナラ模様」、時の若い女性が皆涙したと言われる「景子」など、伊藤さんの代表曲の影に隠れてはいますが、個人的には一番好きな曲です。
親、兄弟、妻、夫、恋人・・・ 大事な人を喪った悲しみは、その当事者でなければ測り知れないこと。 だからこそ、遺族の人たちは毎年、灯籠流しなどを行なって冥福を祈り続けている・・・
この時期、8月6日の広島、9日の長崎での原爆慰霊祭、そして8月15日には終戦記念日を迎え、各地で慰霊祭などのテレビ中継などを観ていると、そんなことをつくづく感じてしまいます。
お盆休みで里帰りをし、祖先のお墓参りを・・・ という人も多いんじゃないかと思います。
自分も、祖父の命日である12日にはお墓参りに出向き、近況報告をしてきたいと思っています。
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